2011年10月29日土曜日

失業した理由シリーズ020 辞める潮時と思った理由

ヘリカルスキャンに殉教する必要もないのではないか? ヘリカルスキャンの開発がなくなったとしても、商品は他にもいろいろあるからだ.

ヘリカルスキャンが終わってしまったのは退職した理由の一つではあるが、”潮時”と思う他の理由がいくつもあったのである.

●コア技術がメカトロからプロセスやソフトウエアへ移ってしまった現在、メカトロに匹敵する興奮をIT技術で得られる気はしないし、ソフト技術者としての自分は無能だ.私はウィンウィン動いたり絵が出たりするものに興奮するのだ.

●かつて、植木等が「サリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」と歌っていたように、サラリーマンはおいしい稼業だったと思う.1980年代に10歳台を過ごした自分が進路を決めるにあたり、サラリーマンというロールプレイに将来像を設定して、人生に投資するのはあきらかにおいしく思われた.とりわけエンジニアは自分の得意分野だし、転勤したくないので製造業の設計者は比較的有利なポジションといえた.

だが、1990年代2000年代を通して、サラリーマンはハイリスクなくせに旨味のない商売に劣化してしまったように思われる.会社はいつつぶれるか判らない.退職金がもらえるかわからない.社内はどんどん世知辛くなってわがままが通らなくなる.海外勤務がなくなる.留学制度がなくなる.住宅補助がなくなる.転勤が多くなる.転勤した先の仕事はつまらない.世界一の成果を出せる仕事でなくなる.

天国の植木等は「サラリーマンは人生投資価値のない稼業ときたもんだ」と歌っているにちがいない.

わたしのわがまま勤労ポリシーが通用するのは業界全体が好景気で求人インフレしている時にしか通用しないわがままである.

経済崩壊でも起きない限り円安には戻らず、したがって輸出製造業の業績回復が望めないことがわかっている.

子供が障害者なので、転勤のリスクを完全に排除する必要に迫られている.

●ソニーに所属して、「設計だ設計だ」とわがままを言いつつ定年まで東京圏に勤務できる可能性は小さくなった.本シリーズ014で「青天井」「ヘリカルスキャン」「高い給料」「勤務地」を併せ持つソニーに漂着できてよかったと書いたが、これらのうち「青天井」以外が剥落すると予想された.

●私は2度転職しているので退職金をちびっとしかもらえないが、早期退職制度があっていまなら退職金が少々割り増しされる.

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わがまま勤労ポリシーが外部要因のせいで消滅するのだから、転勤リスクのある大企業には見切りをつけて、転勤リスクのない企業か業種に転進することに、もはやためらいはない.

高度成長的サラリーマンの性根に染みこんでいる「上を狙い、上に居続けよう」とする行動様式もやめちゃおう.(投資効率が悪いからだ)

そう考え、そうした.

--続く--       つぎへ         前へ

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