2016年6月21日火曜日

似非LED TVじゃなくて真正のLED TVをソニーが出した件

まさか、このディスプレイが出るとは思わなかった.
業務用ですので一般消費者が買える値段ではないと思いますが、いやはや、本当にこれを出すとはビックリです.ソニーさんご苦労さんでした.

特徴は、
 ・RGBの微細なLED素子を配置した画素
 ・画面サイズがスケーラブル
 ・単板は320×360ドットで、外形寸法は403×453mm (約23インチ)
 ・18枚の単板を並べると約110インチになる  (下写真)

光源サイズ=0.003mm2と書かれているので、1画素が55ミクロン角と計算されます.想像より小さい画素だと思いました.こんなLEDパネルをどうやって製造してるのかと想像が及ばずに悩みます.

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数年前のことですが、それまでバックライトに冷陰極管が使われていたTVを、白色LEDに置き換えたディスプレイをサムソンが「LED TV」というネーミングで発売し、国内TVメーカーが慌てて白色LEDを調達に走ったがLED生産設備のキャパが足りない、というマイナーな事件がありました.その時に思いましたよ.たかがLEDバックライトのどこがLED TVなのだ?と.と同時にソニーが研究していた真正のLED TVのことを思い出したわたしでした.

画素がLEDなら美しいというのは誰でも思いつくことで、どうやったら大量のLEDを大平面に敷き詰めることができるのか?という課題を克服するために、すげー昔のコトですがソニーがこんなLED敷き詰め方法を研究していました.

↓RGBのLEDをそれぞれ固有の形状に形成しておき、大量の砂のように混ぜておきます.パネル面にはRGBそれぞれのLEDがちょうど良く嵌りこむ、3種類の穴が形成されています.砂金採りの人がやるみたいにパネル上でLEDをサラサラを転がすと、各々の穴にRGBのLEDがお行儀良く並ぶ(下図矢印).加熱して電極を溶着させればLEDパネルの出来上がり....
技術交換会でこれを見たんだったと思います.砂金採り方式なんて、ソニーは面白い会社だったと過去を振り返って懐かしみます.でもこれが結実して今般の業務用LEDパネルが出来たとはいささか考えずらいですから、何か別の製造手段を考えたのだろうと思います.

まさか砂金採り方式ではないだろうということで、他の製造方法を想像するのですが、さっぱりわかりません.23インチGaN基板にRGBのLEDを同時形成するなんてのは、まさか、まさか、そんな基板売ってないだろうし、そんな厄介な製造設備を立ち上げるとは思えないです.

だめだ降参、と思ってネットを調べたら、もしかしたらこれかもと思う技術がありました.
ガラス基板でスパッタなのでお手軽だそうです.ガラス基板はまだしも理解できるかもですが、スパッタでというのはにわかには信じられん.結晶欠陥が盛大に出現して寿命が短くなりそうに思えるのですが.ぎょえ~っっていう感じ.
この記事の日付は2014年6月です.いま2016年6月ですから、大学の発表からたったの2年しか経過していません.真空プロセスの立ち上げに最低でも1年はかかるとすると、このテクノロジーを活用してCLEDISを実現したと考えるのは難しいと予想しますが、ソニーはそれをやったのか? だとしたらすげぇ根性だ.

自発光デバイスというと有機ELが本命と云われるものの、耐久性問題をクリアできなくて何年間も足踏みが続いていて、その間に液晶パネルの収益悪化で有機ELへの研究開発資金が枯渇するという悪循環が続いています.有機ELじゃない自発光デバイスの本命にLEDが浮上したらうれしいと思います.

#すでに市販されているLGの有機EL TVはカラーフィルタなのであれを自発光デバイスと呼ぶのは難しい.定義が違うと思ふ.

3DTVは何処へ行ったの?

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