2016年2月29日月曜日

長谷川豊さんの炎上商法にすこし協力しよう (鴻海シャープ)

長谷川豊さんのこちらの記事.
極論すぎてその論理についていけません.
好意的に解釈して炎上商法.陰謀論的に解釈してどこかから金を貰って書いた誘導記事とみなしておきます.長谷川さんの他の記事における主張は概ね歓迎できるものが多いので、彼の「炎上商法」にわたしもいくばくかの貢献をしてみようか.

彼の記事が指摘する「日本全体の恥さらし」とは何かというと、シャープが「偶発債務リスト」提出を渋り、マイルストーンの直前にメールを投げた、その潔くない姿勢は、できる限りの礼儀をもって接していた鴻海に対比して、日本全体の恥さらしなのだそうです.それを補強するエピソードが多々書かれていますが、要点はこの部分となっています.

資料の出し渋りは恥ではなく、交渉ではフツーにある場面です.交渉に偶発債務リストを必須とするのは当然であり、それを出し渋ったら交渉が間延びするだけのハナシ.日本全体の恥でもなんでもありません.せいぜい道路渋滞のごとき日常の一コマに過ぎません.

長谷川さんの記事の論理構造はこうなっています.
 1) 鴻海は紳士的であった
 2) シャープもそれに応じて紳士的であるべきだった
 3) シャープが偶発債務リストを出し渋ったのは紳士的ではなかった
 4) シャープの行動は日本全体の恥だ

1)鴻海は紳士的であったか?

鴻海は紳士を演ずるのが直近の目的に有利だからそうしていたに過ぎません.中国人労働者を劣悪に処遇する鴻海という別の顔について、長谷川さんがご存じないわけないでしょう.

わたしは長谷川さんのことを「ナイーブバカ」ではないと思っていますから、鴻海の表裏いずれの顔も演技なのさと、冷静に相手の反応を分析できる人だと思っています.ですが、非常に不思議な事に、今般の記事についてはどういうわけか、積極的にナイーブバカを演じている.そうすることで、論理の出発点に、「鴻海は紳士的である」を置いている.どうしちゃったんでしょうか? 長谷川さん.

2) シャープも鴻海に呼応して紳士的であるべきだったか?

今般の交渉でシャープの置かれたポジションは、ある時は売り手の立場だったり、またある時は買っていただく弱い立場だったりと、そのポジションはめまぐるしく変化しています.産業革新機構から「シャープの案件はclosedだ」と宣告されてしまった数日前を境として、シャープは、売り手の強い立場→買っていただく弱い立場 へと追い込まれたと思われます.

一方で鴻海の立場もまためまぐるしく変わっているとはいえまいか? シャープの太陽光パネル工場をソフトバンクに買ってもらえなかったガッカリもあるでしょう.産業革新機構が手を引いたならシャープを好きに叩けるという目算も出てきたことでしょう.人民元が暴落する日とのチキンレースを自覚してもいるでしょう.

そのようなage/sageで1000億円オーダーが増減する連中です.
自分が上げ潮なら高飛車に、自分が下げ潮なら下手に、わたしには、鴻海とシャープがそれを自己保身本能の赴くままに行っていると見えます.紳士的に振舞うコトなんか誰も眼中にない.紳士的と1000億円を天秤にかけているとしたらそいつはただのバカでしょう.潔くないシャープは恥(顔から火が出る思い)であるという長谷川さんの文章からは武士道を援用したい雰囲気も察せられますが、武士道の出る幕ではありません.

3) シャープの偶発債務リスト出し渋りは紳士的ではなかったか?

紳士的かどうかはもうどうでもいいわ.

長谷川さんの文面から察するに、シャープの非紳士的な行動のせいで鴻海は迷惑を蒙った、鴻海が気の毒だ、ゆえにシャープは許せん、と述べたいようです.

困りますねぇ、こういうわざと間違った現状認識を作り上げるのは.世論をミスリードしないでいただきたい.実状は、点数を稼いだのは鴻海で、ますますロスったのはシャープではないですか?
どこかに身売りするしかなくなって以来、時間が経てば経つほどシャープは苦境に陥る環境にあります.その環境下において、自ら引き伸ばし工作をしたのはシャープです.したがって正しい現状認識は、シャープの自滅/鴻海ますます有利に、です.長谷川さんがしたい世論形成とは逆です.

4) シャープの行動は日本全体の恥だ

紳士的な鴻海に対してシャープは紳士的じゃなかったと、紳士的であるかどうかでビジネス交渉の評価尺度と成すのは無理なので論理が破綻しています.ゆえに日本全体の恥と結びつけて語りうる要素がどこにもありません.

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以上のように、間違った前提→間違った結論、間違った現状認識→間違った結論、を含んでいる件の記事ですが、繰り返しになりますが長谷川さんのトチ狂い方の劇的さが解せません.よくこんな雑な記事を書いたもんだなぁ.

好意的に解釈して炎上商法を狙った記事かと思います.

炎上商法では誰かをdisるのが出発点です.件の記事がdisるのは誰かというと日本をdisっているようにも読めます.すなわち、潔くないシャープは恥(顔から火が出る思い)であり、そのようなシャープを輩出してしまった「日本全体の恥」であると「日本全体」を貶めたがっています.

何かを針小棒大に拡大解釈して「あぁやっぱり日本人は罪深い」という結論に誘導したがるその光景を、どこかで見たコトがありませんでしょうか? そう、朝日新聞、NHK、日教組、中国、韓国、北朝鮮、のことですねぇ.

「交渉相手を信じろ、交渉に当っては武士道に恥じぬよう卑怯な行動は慎むべし」
諸国に通用しないこの日本独自のスタンダードでは外交交渉で負けると幾度も語られてきました.ところが長谷川さんの件の記事の精神的支柱は↑これです.シンクロ率が400%超えてます.件の記事の最大の問題点はこの精神的支柱部分なのです.
長谷川さんの件の記事は、長谷川さんがどれだけ確信犯でやっているのかは不明ですが、
 1) 日本人の交渉態度を紳士的/武士道で無意味に縛ろうとし、
 2) 日本人をガラパゴス交渉ベタに据え置こうとし、
 3) 買収者は見ての通り紳士的であると誤った誘導をし、
 4) 買収者に恥じぬ行動を日本人に要請し、
 5) 日本人を不利に、買収者を有利に導こうとしている
このトチ狂い方にはビックリです.ナイーブバカを熱心に演じすぎだよ.

陰謀論的に想像するならば、長谷川さんは鴻海からお金をもらって鴻海有利の記事を書いたのではないか? もちろんこれは憶測ですが、今後は長谷川さんを疑り深い目で見なくちゃいけないなと個人的に思います.

エイメン


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2 件のコメント:

  1. 何の操作をしたいのか、大陸資本であるのは確かですから、もらっているのかとと言いたくなりますね。

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    1. どうも信用をなくす気がしちゃいますねぇ

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