2015年12月26日土曜日

【人事評定】 男性国会議員に長期間の育児休暇は許されるのか?

Q: 男性国会議員に長期の育児休暇は許されるのか?

A: もちろん許される.だが、大臣のような要職には就けなくなる可能性が生じる

少子高齢化云々という建前がある世の中ですから、申請を受けた人事権者が拒むのは難しいと思われる.つまり制度上は許されるだろう.だが問題は許される許されないという点にあるのではなく、育児休暇をとったらとったなりのペナルティがあり、そのペナルティとは所属する職場によりけりであり、そのペナルティと育児休暇をとる充実感とのトレードオフを見極めて、育児休暇を取るか否かを各位で決めるべきと考えます.
(ヒラサカとしてはこの国会議員を次回の選挙で落選させるというペナルティがふさわしいと考えます)

以下ではペナルティについて主に考察します.

わたしがかつて会社で人事権を持っていた時期に、部下の人事評定をする場面があり、その時に育児休暇をとった者にAランクの評定を与えるかというと、それはありえないわけです.だって目の前にある様々なミッションは別の者がやり、育児休暇をとった者はその場に居なかったわけですから、どうしたってBorCランクしか与えることはできません.どうしたって育児休暇期間にペナルティは生じます.

けれどペナルティは一時的なものにとどまらない可能性もあります.例えば育児休暇をとった者が係長で、年齢的にそろそろ課長に推薦されてしかるべき段階に差し掛かっていたとします.でも、その推薦の季節に育児休暇をとっていたら、その人は課長に推薦されず、別の若手が課長に推薦される可能性があります.そうしたら、昇給額などに数年間に渡るペナルティが生じるかもしれません.

もっと生々しい事を述べると、人事評定をする際に「このクソ忙しいときに育児休暇とか云って消えやがって、ちょっとこいつはダメだろう」などと上司がボヤいているかもしれません.

飽くまでも職場によりけりではありましょうが、わたしが属してきたセカイではこのように何らかのペナルティを免れ得ないのが実情でした.世間にあまたある職業の中で、メーカーは週休二日で休めるし、盆暮れは休めるし、客の都合に振り回されたりする場面の少ない業界だったと云えると思います.そのメーカーですら、男子社員が育児休暇となると、何のペナルティも無かったわけではない、というわけです.メーカーよりもタイトな働き方をする職業では言わずもがなではないかと想像します.

とあるプロジェクトのキックオフで部下達を前にわたしが檄を飛ばした時に、「貴方達はマックのバイトではない.貴方達はマック本社で接客マニュアルを考えている側の人々のはずだ.だから、このプロジェクトに貴方にしかできない貢献は何かを各位で考えて行動しろ」と云った事があります.
マックのバイトのように交換可能な労働力であれば、育児休暇であろうと突然休暇であろうと好きにすればいいです.時給が¥1100にならないとかいう程度のペナルティで済むからです.
でも、そういう交換可能な労働力で居て幸福ですか? 所属組織にとって交換不可能な、何者にも代えがたい人材でありたいと大抵の人は願うんじゃないですか? そうじゃないと楽しくないしなにより給料をたくさんもらえませんから.

でも、育児休暇をとるということには、「わたしは交換可能な労働者ですので、長期休暇をとりますが問題ないですよね?」と宣言する側面が30%ぐらい含まれています.その人が長期間に渡り不在になるのですから、上司は好むと好まざるとに関わらずその人を交換可能な労働者として扱わざるを得ません.それが上で述べた「このクソ忙しいときに....」というボヤきに繋がったりするわけです.

育児休暇をとります宣言した者に対する冷ややかな眼差し(=ペナルティ)は以上述べたようにしていかにも人間臭く醸成されます.

なので、「育児休暇をとるのは許されるがペナルティはある」、というのが結論なわけですが、ひとつ指摘しておきたいのが、
育児休暇とります宣言をする者は、そういったペナルティの存在に相当程度無頓着な人
であるケースが多いという事です.天真爛漫でよかとですねw そういう人は良くて課長どまりってとこかな.

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さて、件の国会議員ですが、

Q: 国会議員は交換可能な労働力であるかどうか?

A: YES

国会議員の仕事を、クリチカルな採決のときにだけ国会に来てくれればOKだと定義するならば、それは交換可能な労働力と呼んでもいいでしょう.普段は居なくても差し支えないわけですから.
(実際は新人議員でも委員会の下っ端にアサインされたり、様々な勉強会に呼ばれたりするみたいですけど)
(地元有権者とのコミュニケーションも休暇にするのかな?度胸あるなぁ)

Q: 国務大臣は交換可能な労働力であるかどうか?

A: NO

大臣になったら日々の決裁やら委員会答弁やらで多忙であり、交換可能な労働力とは呼べなくなります.長期休暇をとるなら他の者に決裁権を委譲する必要がある.それはすなわち大臣を辞めるの意味です.

だから、件の国会議員は今般のスタンドプレーの結果、「いや~わたしなんて交換可能な陣笠議員ですから」って自らの価値を自ら毀損した部分があるわけです.その結果、大臣の椅子が巡ってくるチャンスが遠のくという形のペナルティを受けると思われます.実際には大臣のはるか手前でキャリアにブレーキがかかるかと思いますが.(さっさと落選してOKOK)

そしてもし、件の国会議員が、そういったペナルティの存在にすら無頓着なタイプなのだとしたら、運よく成れても副大臣どまりじゃなかろうか?


男性の長期間の育児休暇について、人事権を持った者が考えるであろう感想でした.

かしこ


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