2015年8月6日木曜日

一足お先に、中央リニアに試乗しました

既報の通り、リニアの試乗に行ってまいりました。

↓リニア実験線は全長42.8kmで、駅(実験センター)は中央付近にあります。実験センターを500km/hで通過します。試乗では2往復を体験できるコースになっています。
↓外部から500km/hを見たビデオ。周囲の観客達が「速っ!」と云ってるのが聞こえますけど、ビデオだと速さをちっとも知覚出来ませんなぁ。現物の速さといったら地上物体にはあるまじき高速さで視界から消えてしまうのですが。

↓駅に入ると、搭乗券発券マシーンがあり、
↓本物みたいな搭乗券が発券されます。
↓飛行機みたいな手荷物チェックを通過し、搭乗口はこのようにまるで飛行機みたいです。駅ホームを自由に歩かせないシステムになっています。
↓機内の特徴は、窓が飛行機並みに小さいところです。シートは新幹線と同じ。飛行機に新幹線のシートがついたようなかんじです。
↓これは500km/hの瞬間。乗客が万歳三唱してるのではなくて、皆さんデジカメで撮影中です。
天井は新幹線よりも20cmぐらい高いです。座席は4列ですので新幹線の5列座席よりも広く感じます。
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乗り心地はどうだったかというと、振動の特異さが最も印象的でした。何でだろうなぁと考えましたら、こういうコトではないかと思っています。

まず従来の車輪走行による機体であれば、縦振動はショックアブソーバによって抑圧的になっており、横方向の振動はなすがままでした。ところがリニアでは機体がマイスナー効果による空中ピン止めで位置決めされているので、縦も横もショックアブソーバは存在しません。

マイスナー効果による位置決めはどんな乗り心地になるのか?
 1) バネのような減衰振動
 2) 大気が不安定な空域を通過する航空機のようなフワついた振動
 3) エレベータの規制ガイドのクリアランス限界でゴツゴツと跳ね返されるタイプの振動

ひら印象では3でした。ゴツゴツした振動。
日本のエレベータの振動は少ないですが、USの古いビルのエレベータだと規制ガイドが低精度なので振動が大きいケースがありますよね。リニアの乗り心地はそんな感じ。そういう振動をする乗り物は人類初体験ではないかと思いました。

総じて、振動の振幅は新幹線よりも小さい。振動が新幹線よりも高周波。振動が矩形波的。

騒音はどうかというと、低い周波数のゴーとボーが合わさった音。ホワイトノイズに200HzでLPFをかけて、かつ150Hz付近を10dBぐらいブーストした感じと書けばAVマニアには伝わりやすいだろうか?
飛行機の機内の騒音は風切り音が高周波で聞こえますけど、中央リニアにはそれは無かった。車輪が線路の継ぎ目を通過するときに生じる「ガタンガタン」という音はもちろん生じません。

450km/hを過ぎるときに、機体がブルブルと共振しました。これは今後改善すべき点であろうと思いました。

↓わたしが実測した時間-速度プロファイルです。おおよそ3分で時速500kmに達していました。その後2分間の500km/h走行があり、減速シーケンスへ入ります。
↓同じく実測した距離-速度プロファイルです。500km/hに達するまでの加速距離は15kmでした。これを急加速と見るか、遅加速と見るか、微妙なところです。
↓体験乗車終了後に機体の外観を見れます。運転席の窓がありません。無人運転だそうです。まじ~?
乗車体験レポートはこれでおしまい。

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↓駅施設の隣接地には、このような巨大な電源設備棟が建っていました。その風景を見て、中央リニアの建設に対して普段から感じている疑問を改めて思い出しました。
リニアが環境破壊だのという環境フリークな思想をヒラサカは持ちませんが、リニアってビジネスとして成立するのかいな?という疑問は持ちます。どこかの新参者の企業がリニアを建設して、リニアの収益で投資回収し、毎年利益を生み出す、これがビジネスとして成立するの定義です。
しかし中央リニアのビジネス上の位置づけはどうかというと、新幹線という優れたビジネスモデルが生み出した数兆円もの累積利益をリニアへ投資し、新幹線という優れたビジネスモデルが生み出した利益を毎年リニアに注入することで存続させられるのがリニアなんじゃないのだろうか? (憶測ですが)
リニアの技術が大層なもんだって云うのは認めるのですが、リニアが優れたビジネスモデルなのかというと、新幹線の金が投資され、新幹線の利益で存続させられるのだとしたらリニアが優れたビジネスモデルだとはいささか思いがたいです。(憶測ですが)
(JR東海は、リニアと新幹線を並存させると述べています。)

だとしたら、賞賛されるべきなのは相変わらず新幹線というビジネスモデルであって、リニアではなかろうと。もっとも、新幹線でJR東海がスゲー利益を得られる理由は2つ。(憶測ですが)
  1) 東海地方は、赤字ローカル線がない(少ない)し、東京大阪の中間というドル箱地帯
  2) 新幹線運賃を下げないのは、JALやANAのビジネスを殺さないため
というJR東海が置かれた環境がラッキーなだけという醒めた見方もできてしまいます。

ゆえにリニアを手放しで賞賛しがたいのは、新幹線で搾取したあぶく銭でJR東海という私企業がする道楽がリニアである、という側面がどーしても脳内にチラついてしまうからです。

「新幹線というそこそこ速くて低コストなビジネスと、航空機というとても速いけど高コストなビジネスがすでに在って、そこにリニアという中速度・中コストのビジネスが割り込む余地は在るのか?」
中央リニアは、このテーゼに対する回答になっているのだろうか???
う~ん、、、

な~んか、鉄道ブログ化しとるな。

かしこ


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4 件のコメント:

  1. 家から4,500mのところにリニアが通ります。駅からは3,4kmです。
    2年ぐらい前に説明会もあったのですが、既に決まっている事として進んでいる
    という感じでした。個人的には作るなら役に立つうちに作って欲しいので東京
    オリンピックまでに前倒しして欲しいと思っているのですが、無理のようです。

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    1. 駅から3.4kmということは出張はもっぱらリニアですね.いきなり便利な立地.
      ですがリニア館で見た記憶ではたしか名古屋までが2027年、大阪までが2035年だったかなあ.未来が遠すぎます.出張も何もすでに隠居しているのではないかと.

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  2. 客室内には 強い磁力線が漏れてないんでしょうか?

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    1. 乗ったあとで思いました.ガウスメーターを持ち込んだら良かったと.

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