2013年12月31日火曜日

【高畑勲】 「かぐや姫の物語」はなかなか良いと思った

2013年最後のアニメ鑑賞ということで、大晦日に「かぐや姫の物語」を観ました.哲学的なものは感じませんでしたが、それなりにドラマチックだったし、いいシーンもたくさんあったし、合格だったと思いました.

高畑氏が演出・監督のフィルモグラフィーはこうなってます.寡作かと思ってたけど、こうして並べると意外とたくさん作ってます.
---①---
1968年 太陽の王子 ホルスの大冒険 (監督・演出)
---②---
1972年 パンダコパンダ (監督)
1973年 パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻 (監督)
1974年 アルプスの少女ハイジ (演出)
1976年 母をたずねて三千里 (演出)
1979年 赤毛のアン (演出・脚本)
---③---
1981年 じゃりン子チエ (監督・脚本) ※劇場版
1981年 じゃリン子チエ (チーフディレクター、絵コンテ、演出) ※テレビ版
1982年 セロ弾きのゴーシュ (監督・脚本)
---④---
1987年 柳川堀割物語 (監督・脚本)
1988年 火垂るの墓 (監督・脚本)
1991年 おもひでぽろぽろ (監督・脚本)
1994年 総天然色漫画映画 平成狸合戦ぽんぽこ (原作・監督・脚本)
1999年 ホーホケキョ となりの山田くん (監督・脚本)
2013年 かぐや姫の物語 (監督・脚本・原案)

①東映動画時代の代表作の「ホルス」はアニメ史の必修科目と言える作品.(といってもあまり面白いとは思わないが)

②高畑氏の黄金期.基本的にこの時代の素晴らしい作品歴で退職までアニメ監督であり続けることが出来た人が高畑さんです.ただし、「パンコパ」は宮崎駿の貢献が大きかったのであまり高畑作品とは認めたくはないところだが.

③「チエ」はずいぶん長い間作っていましたが、あまり高評価は得ていません.「ゴーシュ」は高畑氏の音楽趣味が全面に出ている佳作です.

④ジブリ時代の高畑氏の作品歴は、あまり褒められたものじゃぁないと思います.理屈っぽくて、ついて行けません.はっきりと言ってしまいますが、「おもひで」「ぽんぽこ」「山田くん」と低調な作品を作ってしまい、フツーだったらもう作らせちゃもらえないでしょっていうのが高畑氏の晩年のポジションだったとわたしは思います.

宮崎駿が引退しまーすと言った時節に高畑氏が作った「かぐや姫の物語」は、謂わば高畑氏の退職金なんでしょと納得して観に行きました.

以下、散文的な感想です.

長すぎた
上映時間は137分だそうです.短い「かぐや姫」をここまでじっくりと描けるもんだったのかと思う反面で、長すぎやしないかと思いました.100分ぐらいにまとめたら良かったと思う.「初めて立った」「大臣達の贈り物」のエピソードは冗長に感じました.

怒りのかぐや大疾走は?
映画のコピーは「姫の犯した罪と罰」です.予告で流れた「怒りのかぐや大疾走」のシーンは、かぐやが激怒するような、たとえばお爺さんお婆さんに不幸が訪れるとかの事件が起こって、かぐやの月世界パワーが暴走したのかと予想していたのです.でもそんなことはありませんでした.
「怒りのかぐや大疾走」は、社交界デビューの宴会で貴族に見せ物扱いされて、いたたまれずに脱走したというエピソードでした.(正確にはちょっと違うんだけど、さておく)

原作との乖離は?
基本的に原作に忠実です.かぐやの成長をじっくりと描き、かぐやと反りの合わない貴族社会をじっくりと描き、月への帰還をじっくり描く、それで137分になっています.かぐやが世界を変革しちゃうんじゃないか? 貴族の不興を買って爺さん婆さんが殺されるんじゃないか? かぐやが地球に留まるんじゃないか? 観ながらそんなことを考えていましたが、そういう現代アニメ的な要素は一切ありませんでした.

ハイジ的要素が追加されている
原作の「かぐや姫」では、「地球のオトコなんてバカバカしくてつきあってらんないワ」というかぐや姫像が設定されているとひら的には思っています.高畑版「かぐや姫」では、「自然の生老病死が好き」というかぐや姫像が設定されています.
この「自然好き設定」って、ハイジなんですよね.ハイジはアルプスの自然を愛した.かぐやは日本の自然を愛した.ハイジにとってフランクフルトは嫌な場所で、かぐやにとって京の都は嫌な場所.そして教育係のロッテンマイヤーさんは、相模に...

かぐや姫の罪と罰
このコピーはあまり作品を代表してないようです.かぐやは自然が好きなだけなのに、そのせいで回りの人々が不幸になってゆく、それが罪.そのあげくに月世界にSOSを送ってしまい、月に強制送還されてしまう、それが罰.確かにかぐやにはそんな葛藤があるのですが、名作文学の題名を引用するほどのこともなしと思います.

鉛筆画は効果的か?
鉛筆画ゆえに素晴らしいアニメになったかどうか? わかりません.贅沢だとは思いましたが、それ以上の感銘はありませんでした.

TV放映で人気になりそう、TVで観るのがお奨め
劇場の入りは悪かったですが、ちゃんと感動的に作られているので、テレビで放映されると人気が出るんじゃないでしょうか? でも尺が長いのはカットしないと無理かな?

かぐやが空を飛ぶシーンはさすがジブリっていう良い出来でした.

奈良の飛鳥には”香具山”というのがあるそうです.もしや、、、
かしこ


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4 件のコメント:

  1. 新春のおよろこびを申し上げます。

    皆様 先年はいろいろお世話になりありがとうございました。

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  2. 新年早々からどぎついのはさけまして、国連について書いてみたいと思います。

    日本では国連ですが、英語では 枢軸国 に対する 連合国となっています。
    日本が加盟するとき、負けた方が勝った方に加盟するのを国民には言えず、
    国際連合と言い換えたのです、ですから常任理事国は5国であり、中華民国が入っていたのですが、それを中華人民共和国にやり換え(当然敗戦時にはなかった国)中華民国は脱退したのです。
    後は、当事者国で無かった10カ国のうち5カ国が交代して当たりますが、議決権など殆どの権利を持ちません。
    当然日本は永久に常任理事国には成れず殆どメリットがありません。
    と言って、同じような組織(特亜を除く)東アジア共同連合を作ればもっと、東アジアに、大きな利益をもたらすと思いますが、(思い切って、アラブ、アフリカ、南アメリカ、を含める案もあります)
    実行しようとすると、3次世界大戦が起こっていまいかもしれません。

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  3. 私も観ました。
    あの、キャッチコピーの意味は分からなかったのですが、そこそこ楽しめました。w

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    1. あけおめです.観た人の評判はいいですね.問題は観る人が少ないってことですが.

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