2012年12月4日火曜日

PCB設計ソフト「DesignSpark」 (4枚目) 使用中止・撤退

おことわり:  当記事は執筆時点(2012.12.4)でのversionの使用感ですので、その後改善されたかもしれません.その点をご留意いただけますようお願い致します.2013.11.9追記

これっていいかもと思って使い始めたPCB設計ソフトの「DesignSpark」.

残念ながら、わたしはこのソフトとの相性が悪いことが判りましたので、使用を中止します.以下、わたしの使い込みが稚拙であるが故の誤解という可能性が15%ぐらいあるかもしれませんが、それを割り引いてもこれだと使えません.逆に、DesignSparkで全然問題なく使えてますという評判があったら、わたし的には「えーっどうして?」と問いたくなります.

理由1:
Auto Route(自動配線)だけでお使いくださいという設計思想であるらしく、自分で線を引くのが億劫な仕様です.下記のように手動で配線するときに、斜め配線の選択肢がありません.直角にしか線を引けません.
さらにいうと、配線する時に、どのような太さの配線をしたいのかを自由に選択できません.

理由2:
自動配線すれば斜め線が登場します.けれど、このおかしな配線をする理由がわかりません.この自動配線クオリティなら使いたくないです.
自動配線のクオリティが低く、手配線が不自由である.ということはこのツールは使えません.

理由3:
距離を測るツールが、PAD-PAD間の距離ぐらいしか測れず、任意のモノサシ的な使い方ができないので不自由.
理由4:
libraryは、銅箔+シルク+レジスト+ハンダマスクを一体で作らなければなりませんが、レジスト+ハンダマスクを明示的にeditできず、裏で自動的に生成されているらしい.なので、どのようなレジストが生成されているのかが判りません.

----
以上、DesignSparkに大変批判的ではありますが、中には便利な機能もあるんです.
↓ライブラリ設計wizardは便利です.
↓dxf形式で簡単に書き出せるみたいです.
----
DesignSparkの企画意図はこういうことかと思われます.
RSが販売しているパーツがonline libraryとして大量に登録されていて、それを回路図・基板AWにバシバシ貼りつけて、自動配線一発で基板ができあがります.

しかし、熟成度が低いので現実に使える場面が少ないと思います.

STM8S105C6T6のonline libraryをdownloadしてみましたけど、回路図シンボルがただ48pinの四角い箱なだけで、使うに耐えないライブラリでした.

自動配線のクオリティが低いし、手動配線が不自由なので、ロクな回路に使えません.
  低配線密度の1MHz以下の基板      使える
  BGAのICが乗った基板        ダメ
  電源回路                            ダメ
  アナログオーディオアンプ    ダメ
  アナログ高周波回路           ダメ

0.5mmピッチのQFPのICが載っていて、0.2mm幅の配線を美しく通すために、viaを打ってあーでもないこーでもないと苦労する基板を作りたい場面は誰にでもあると思います.ところが、それがDesignSparkでできるとは思えませんでした.だとするならば、DesignSparkに時間投資する気がわたしには起きません.

さよなら、DesignSpark.

#eagleになら不満はありません.

かしこ


人気ブログランキングへ

12 件のコメント:

  1. 1つ目の理由については、WキーとSキーで解消できるはず。たぶん・・・。あとLキーでビアうってレイヤー切り替えたりもできます。ご参考まで。

    返信削除
  2. 日本製品の超絶な品質を基板設計の職人わざが担っているのって知られていないんでしょうね。
    美しいフィレットや艶のある半田仕上がり、無洗浄でも半田ボールがなかったり、大物部品と極小部品が混在しても適正な温度プロファイルできれいにリフローが仕上がっているのは、実装工場の技術だけじゃない。
    基板設計側でレジストや半田マスクの開口や部品配置を決めて、それを受けて実装工場側でマスク厚やスキージ圧を調整したり炉の温度やDIP噴流を管理するという無言のキャッチボールがあってはじめて品質が保てている。現場でずいぶんとみてきたけど、こういう美しいものを作り続けることは、人生をかけるに値する仕事だと今でも思う。

    こういうものを過剰品質や無駄と切り捨てていくのは愚かしい。目先の勝負にうろたえて自分たちが土人になってはいけなあと思う。

    基板の話になるととまらん・・。

    返信削除
    返信
    1. 某中国でわたしが見たハンダ不良の解析→対応→不良撲滅は何も知らない素人の働きでした.目視検査で不良をハジキますとしか出来ない人々.教えなけりゃ出来ない人々.土人.

      削除
  3. 上にkusobokeというコメが来ましたので、kusoboke殿へ返信しておこう.

    あのな、それは「糞呆け」と書くのだよ、日本語ではな.わかるか?

    返信削除
  4. KiCadから乗り換えるつもりでマニュアルを探していたらここがヒットしました。参考になりました。ありがとうございます。eagleを試してみようと思います。

    返信削除
  5.  だいぶ古い記事ですが、ちょっとこの記事はあまりにも使ってない人が酷評するというよくないものだと思ったので、コメントを読んでくれる人がいたら、フォローしておきたい。
     この理由1は前コメにもあるようにwで配線方式を変えられて、斜めの他曲線を書くことも可能です。太さもLの他プロパティやShift+Tでこまごまと変えられるほか、デザインルールチェックは非常に使いやすいものです。
     理由2はまさにその通りで、文句ないです。自動配線は糞です。
     理由3は、そもそも任意の長さを図る必要があるのだろうか?という疑問からはじまります。確かに、その機能はありません。必要に応じて、DocumentLineを引き、その線間を図ったりすることはできます。私は、そのような機能を必要とした覚えはありません。
     理由4は設定できますが、確かに面倒です。

     ここに(tutinuma.blog.fc2.com/blog-entry-39.html)自分が作成した回路の画像を張っておきます。

    返信削除
    返信
    1. ごめんなさい、太さを変えるのはLではなくSでした。Lはレイヤーの変更でした

      削除
  6. 2017.05.20 ワークステーション UNIX上で、ケイデンス社 concept、Allegro と、Windows 上で、ドイツ EAGLEを使ったことあるものです。W L Sなどを押すと、斜め線弾けたりするのは参考となりました。これから自動配線を試してみます。ありがとうございます。

    返信削除
  7. 自動配線の件、まだ試していません。自動配線の後手動で、修正しようと考えています。手動のような味が出ない場合は部分ごとに、自動配線できるモードないか検討します。 ところで、ノーマルで、手動で、斜め配線が普通のモードになる方法が次のサイトに説明ありました。これなら、これまで使ったことあるCADの感覚です。この部分は、http://marsee101.blog19.fc2.com/blog-entry-1729.html

    返信削除