2011年12月12日月曜日

材料メーカー VS ドリルメーカー 番組に見る生産財産業---日はまた昇る

こないだ、TVのバラエティー番組で、絶対に穴が空かない強靱な材料を開発した会社と、何にでも穴を開けられるドリルを開発した会社とが、対決するというコーナーをやっていました.結果は、穴は空きませんでしたが、ドリルもボロボロになってしまっていたので両方とも負けっていうかんじでした.

その番組を観ていて、日本の真の産業競争力である生産財産業だなあと思っていたわたしです.そのことを書きます.

この記事は、過去のこれらの記事にも関連しますので、そちらも併せて読んでいただけるとありがたいです.
---輸出製造業は自由貿易の夢を見るか?
---TTPだとぉ? 国なんか開かんで良いわ.円高・デフレをなんとかしろ
---円高・デフレから脱却できるってホント?

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ヨーロッパではギリシャの国家破産が引き金になってユーロ崩壊か!?みたいな話題が喧しいこのごろです.ギリシャが破産しそうな理由は、外貨を稼ぐ産業が国内にないにもかかわらず、ユーロに加盟したので高いユーロをあぶく銭のように使える立場を得たので、おいしいおいしいと輸入しまくったから経常赤字になって、外国人に買ってもらっていた国債の償還ができそうにないからなわけです.

団塊の世代にありがちな、外貨を稼がなくちゃ日本はおしまいだなんていう短絡的な思考にはわたしは賛同しませんけど、まぁそれでも経常黒字がチビチビあるぐらいには潤ってないといろいろと困るのは事実だろうとは思います.

外貨を稼ぐ産業ってなにかというと、農業、鉱工業、工業、ドル あたりでしょう.ドルって何かというと、ドルという基軸通貨を刷るのは外貨を稼ぐのと同じってことです.USAはおいしいですね.北朝鮮製のニセ100ドル札はまさに外貨獲得産業ってわけですw.

日本における外貨を稼ぐ産業は工業なわけですが、ここでは工業を加工貿易と生産財産業にわけて考えることにします.加工貿易というのは、素材や部品を輸入して製品に加工して輸出する産業形態です.生産財産業というのは、工作機械や半導体製造装置をつくる産業です.

1980年までの日本は、加工貿易をしていたのはいうまでもありませんが、生産財も国内調達できたので、輸出産業の売り上げが全部日本国内に落ちていましたから、最強でした.

現在の日本は、円高のため空洞化したので、加工貿易部分は消滅したものの、生産財工業はまだまだ国際競争力を維持しつつ生きています.冒頭の番組の企業なんかがまさにそれです.

では、外国の事情はというと、いま中国は工業で儲けていますけど、それは加工貿易であって、中国に生産財産業はないです.韓国も同様です.韓国の大統領はしばしば「自国の生産財産業をてこ入れしたく」みたいな発言をするそうです.ゆえに、中国も韓国も、生産高を上げるために投資すると、生産財は日本から調達するしかないので、どうしても日本を潤してしまうという産業構造になっています.
(余談ですが、数年前の出来事.TVのバックライトを白色LEDにするために白色LEDを大量に調達したいが生産高が少ない.生産高を上げるためには東急目黒線不動前駅にある大陽日酸という会社が製造販売しているMOCVD装置が必要だ.ところが大陽日酸製のMOCVD装置がすでにSAMSUNGに売約済みになっていて、日本のTVメーカーが困ってしまったというエピソードがありました)

つまり、生産財産業を持たない国は自国完結的な輸出産業を構築できないので、外貨獲得力が最強にはなれないのです.

いま、生産財産業を持っている国はどこかというと、日本とドイツだけです.昔のUSAは生産財産業も強かったですけど、今はUSA製のNCマシンなんか聞いたことないのでずいぶん弱まっているのでしょう.

ドイツがユーロ圏で発言力を強めることは第三帝国の再来とかいわれて牽制されているようですけど、ギリシャのような浪費体質の国家がすねかじりのようにぶら下がったユーロ圏において、最強の外貨獲得力の国は生産財産業を持ったドイツなので、発言力が強まるのを止めることはできないだろうなぁ.

ところで、日本ドイツUSAというと、第2次世界大戦で暴れた張本人3人衆ですね.昔は何年間も戦争していたので、生産財産業を持った国しか戦争の張本人になれなかったってことだったと思います.生産財産業を持つドイツと日本が暴れて、生産財産業を持ったUSAにしかそれを止められなかったという図式.70年前の生産財産業トップ3の国のうちの2つが今でも生産財産業トップ2であるということは、経済的な発展段階のせいじゃなくて、文化的にそうなる理由があるんじゃないかと思うんです.

中国、韓国、インドでも生産財産業が発展するでしょうか?
わたしはこの3国では中国にしか行ったことがないのですけど、中国に行くとわかるんですけど、中国人って「オレが儲ける商人主義」です.商人にとっては、工作機械なんか自社開発しちゃいけないわけで、購入して償却するのが正常な行動様式です.
それに比べると日本人は「自分で作る職人主義」のような気がします.職人にとっては、工作機械を自社開発して生産するのが正常な行動様式です.
商人行動様式であるかぎり、中国では生産財産業は発展せず、いつまでも加工貿易のポジションから脱することはできないんじゃないかと思います.韓国の大統領さんもジレンマを感じているんでしょう.

だから、過去100年間、生産財産業を持つに至れなかった国家は、今後も生産財産業を持てはしない.わたしはそう思っているんです.だから、円安にさえなれば、日はまた昇ると思っているんです.

冒頭の番組の、絶対に穴が空かない強靱な材料の会社と、何でも穴を開けることが出来るドリルの会社には、円高にめげずに自信を持って永続してくださいと、エールをお送りいたします.きっと日はまた昇ります.

商人へと舵を切ったソニーには、それで永続できるんですか?と問いたいです.

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4 件のコメント:

  1. 名作「ユーロ売りの少女」
    http://fomc999.blog13.fc2.com/blog-entry-457.html

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  2. おもしろい.画材は色鉛筆かね?

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  3. 社会の単位は1連の組み合わせによる完結です。
    商人ばかりになってしまっては・・
    銀行ばかりになってしまっては・・

    お金は物の対価ですからバランスが取れていないと大変なことに・・
    前は7%くらいの経済成長、最近は4%くらいとか、
    人間がそれを必要としなう限り経済成長は自然に任せるべきで、
    現況国外ではやく50%はなんやかんやに取られ、
    国内では70~80%がなんやかんやに取られています。
    ふくれるのは官僚や資本家、国王(国外ではそう呼ばれている)

    アメリカなんかでは我々からもっと税金を取れなんて言う資本家まで現れる始末。

    本当に国はどの様な方向に向かえばinでしょう?

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  4. いまは実質経済成長は1%ぐらいらしいです.それにデフレが-2%ぐらい加わりますから、名目成長率-1%というわけです.
    自分は日本が好きですと表明することが恥ずべきことのように扱われる雰囲気が各界にあることがイケナイことだと思っています.

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