2011年10月8日土曜日

失業した理由シリーズ004 輸出製造業は自由貿易の夢を見るか?

私が失業した遠因は、輸出製造業の不景気なのだが、では輸出製造業の不景気の原因は何だったのか?

私は、原因は全く単純に「円高」につきると思っている.

バブル崩壊は輸出製造業不振の原因とは考えられない.もとより国内市場をあまり相手にしていない輸出製造業にとって、バブル崩壊による国内市場の縮小はさしたるダメージではなかったからだ.

中国や韓国との製造賃金競争が原因だとする説は、間違いではないが50点といったところだ.

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話は脱線するが、ここで中国に生産工場を移す企業のソロバン勘定がどんなものなのかを説明しておこう.

中国人の工員さんの月給は2~3万円である.これだけで、日本人の工員さんの月給の10分の一であることがわかるだろう.

もうすこし詳しく理解するために、日本生産と中国生産で製品の原価をどれだけ下げられるかを説明する.工場では原価計算に賃率という数値を使う.賃率とは、工員一人を一分間働かせるといくら金がかかるかという数値である.賃率には給料の他に土地代や光熱費も含んでいる.日本の工場では、賃率は¥50である.これが中国の工場では、賃率が¥5である.中国に工場を移すメリットはこの差につきる.

ある製品を一台生産するのに部品代が2万円かかるとする.部品代は究極的には石油や金属原料価格に帰着するので、日本で調達しても中国で調達しても部品代は実はあまり変わらない.輸送費も電気代もあまり日本と変わらない.

ところが、その製品を1台生産するのに、のべ作業時間が60分かかるとしよう.日本で生産すると、賃率が¥50/分なので、製造手間賃が¥3000かかる.中国で生産すると¥300で済む.したがって、ある製品を日本生産から中国生産へ移すと、製品原価¥23000(made in Japan)が¥20300(made in China)へと約12%下げられるというソロバン勘定である.

たった12%ってどういうこと? 10分の一じゃないの? と思われるかもしれないが、日本製造業空洞化を推し進めた企業が得る成果はたったこれっぽっちなのである.日本の地方の工場で働いていたお父さんお母さんにリストラの辛い思いをさせても、企業が得られるコストダウン効果はこんなもんなのだ.

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話が脱線しすぎたので、今回はこのままふぇーどあうとしますー

--続く--     つぎへ         前へ

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