2015年5月10日日曜日

ストレージの遅い進歩が人工知能の発展の足かせになるのではないか?

ホーキング博士がAIによって人類が存亡の危機に立たされる、などと云い、当ブログでも何度かAIについて書いたコトがあります.わたしはAIについて考えるのが好きなのかも知れない.
「たかがAIのせいで滅ぶ程度の人類なら滅んでしまえと思ふ」
「アニメ「イヴの時間」を観たんだけどぉな件」

AIというと、IBMのワトソンがクイズ王に勝ったのはビッグニュースだったように思います.クルマの自動運転も広い意味でAIと呼べるのかも.

ひら的にAIを分類すると、
  (1) クイズを解くような、知識データベース型のAI   (自然言語理解、多機能、霊長類の脳)
  (2) 自動運転のような、伝達関数型のAI    (寡黙、単機能、昆虫の脳)
に分類するコトができるんじゃないかと思います.将棋やチェスで勝つのは(2)に分類します.言語通訳は(1)に分類します.お掃除ロボットは(1)に分類します.汚れた雑巾を水洗いするべきかどうかの判断は、汚れの定義が自然言語的で難しそうだから.

それで、(2)はつまるところセンサと伝達関数と出力デバイスからなるシステムであって、伝達関数のアルゴリズムの高度化とそれを下支えする計算速度が実現されればよいと考えると、現行技術の延長線上に実用化(人間を越える性能)をモノに出来るんじゃないかなぁと、わたしのゴーストがささやいています.

ところが、(1)は膨大な背景データベースとの壮絶なパターンマッチがシステム原理なのだとすると、莫大な背景データベースを個々のAIに持たせられるのかどうかが甚だ疑わしいとわたしは思うんです.

わたしが会社でやった仕事の90%はストレージビジネスでした.VHSもDATも広い意味ではストレージです.2015年のいま、大規模ストレージはHDDというメカトロ技術で下支えされていますが、HDDの記録密度増加ペースはほぼ止まっています.垂直磁気記録もとうに実用化済みで、これ以上磁気bitサイズを小さくしようものなら不安定化して消えてしまうどんづまりにまで到達してしまっているからです.(去年実用化されたベタ記録は懐かしかったわ)
なので早ければ5年後か、遅くとも10年後には何らかの半導体メモリのbit単価がHDDを追い越すだろう、というのがひら予想.ゆえに大雑把には今後10年ぐらいかけて、半導体メモリが10TB/1万円オーダーまで値下がりするぐらいになれれば御の字じゃないかと思う.

ストレージに詳しい人から聞いたハナシでは、人類が生成する総ストレージ量は2010年かその前頃に既に頭打ちになったのだとか.そりゃそうだろうと思います.翌年になれば同じ価格で2倍容量のHDDを買えた時代は1985~2010年の25年間だけだったんだもん.
もっとも、人類が生成しているストレージ量が頭打ちだからといって、人類が生成しているデータ量が頭打ちだというわけではありませんで、データは膨大に生成され、その多くが捨てられ、一部がストレージされている、という理屈です.データセンターに預けているデータを古い方からドンドン消してしまい、新しいデータだけをデータセンターに預けるというデータマネジメントを駆使していたりします.

人類が生成するデータは何なのか? 監視カメラが吐き出すストリームだ(つまり動画)という説があります.テキストに比べると動画像はファイルサイズが巨大なのはよく判ります.

ひら的には、人類が生成する巨大データに将来は、「AIが吐き出す記憶データ」が大きなポーションを占めるようになるんじゃないかと思うんです.家事をやってくれるAIがその日にやった掃除を動画で記憶していたり、訪問した宅急便屋の動画を記憶していたり、、、それらを夜中に外部記憶に転送するとして、古い記憶もストアしておく外部記憶にはいったい何TBの記憶容量が必要なんだろうか? と考えると怖くて夜も眠れません.

1985~2010年までのHDDのような快速ペースでストレージ容量が進歩しないとすると、AIの社会進出に伴うストレージ需要にどういったストレージ技術が応えられるのか??? 応えられる技術をわたしは知りません.

上で述べたストレージに詳しい人は、ローカルストレージに拘るべきではなくて、ストレージはオンラインユーティリティ化してゆくと予想していました.googleドライブのようなクラウドストレージがその典型です.それには同意するとしても、宅急便屋の動画をクラウドストレージにストアする人はあまり居ないだろうから、画期的に廉価な大容量ローカルストレージが登場しない限り「AIが吐き出す記憶データ」はその都度捨てるしかなくなるように思います.画像記憶による能力増強が出来ないAIは、霊長類の脳ではなくて昆虫の脳だと思う.
「一週間フレンズ.」という記憶障害の切ないマンガ・アニメがありましたが、AIも「一週間AI.」になるんでしょうか? と考えると切なくて夜も眠れません.
ちなみに、IBMのワトソンがクイズ王に勝った知識データベースは意外に小さくて、テキストデータで70GBなのだそうです(wikiによる).AIが扱うのがテキストデータだけなら大したサイズではないとワトソン君は言ってます.でもそれだとクイズなら役立つけど、お掃除は出来そうにないかな? 汚れた雑巾を洗うかどうか? 水洗いするか中性洗剤で洗うか? そういう判断はテキスト処理では無理でしょうから.

巨大ストレージでハッピーAIライフな未来を希望して筆を置くことにしようそうしよう.

かしこ


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