2015年3月25日水曜日

【懐かし測定器シリーズ6】 74XXシリーズロジックIC

不定期連載の懐かし測定器シリーズですが、今回は懐かしパーツシリーズになっています.

↓74XXロジックICは初代Apple Iに大量に使われていたので、1970年代にはすでに流通していたのだと思います.TTLロジックICと呼ばれます.TTLのTはTransistorの略なので中身はゴチャっとトランジスタが集積されています.(CMOSとの対比でバイポーラICというカテゴリ)
←AppleI
DTL
スタンダードの74XXシリーズの前に、DTL(DはDiodeの意味)という動作スピードの遅いロジックICシリーズがあり、1987年新卒のわたしがDTLを使った機種の目撃経験があります.その時点で滅ぶ寸前のDTLでした.さすがにもう生産されていないと思うし、売られてもいないと思ふ.
←DTLのAND回路
74xx
スタンダード74XXシリーズは1980年代初頭までは多く使われていたと思います.ひら的にはあまり使った経験はありませんでした.
秋葉原の「鈴商」には今でもスタンダード74が売られているんだから物持ちがよいって言うかなんつうかです.ちなみにロジック関連パーツを買うには鈴商は安くてお奨めです.マルツよりも全然安いですから.

74LSxx
1980年頃から自作回路にロジックICを使い始めたわたしが多く使っていたのは、74LSXXシリーズでした.スタンダードよりも低消費で高速だったかな?
いまでも秋葉原の店頭在庫があります.「鈴商」の対面でいまは「三月兎」になっているところにあった「亜土電子」というお店で74LSXXをよく買ってました.「亜土電子」は使いやすいお店でしたが早々と潰れちゃったようでした.

74Sxx
言われてみれば74Sって有ったよなという程度.使用経験はありませんが、プリント基板の目撃体験ならありんす.

74Fxx
就職して最初の仕事がDATで、その当時はLSIを起こす前に74ロジックICを1000ヶぐらい使ってラッピングで手作りブレッドボードを製作するという鬼のような手順を踏んでいました.LSI規模が数千ゲートぐらいなので手作りできちゃったわけです.そのブレッドボードの一部のICが74FXXシリーズ.LSよりも高速でカッ飛んでいて、しかし電流を鬼のように喰う忌まわしきロジックシリーズでした.

74Fシリーズの何が忌まわしいのかというと、「不要輻射」が死ぬほど大きいからです.ロジック回路が高速化するにつれて、TVやラジオへの妨害が生じる「不要輻射問題」がクローズアップされ、電子機器が発する妨害電波の強さを定める規格ができました.その不要輻射規格に従うことが必須とされ始めた時期が1984年ごろだったと記憶しています.(法制定はもう数年前だったろう)

業務用DATのClock周波数は一番高いところで108MHzってのがあったかと思いますがそれはごく一部のシリアル部分であって、バスClockは15MHzぐらいだったかと思います.15MHzというと現在のバス設計では低い周波数ですけれど、当時としては74Fシリーズを使いたくなるような周波数だったため、74Fシリーズが一部で使われていました.

74Fシリーズを使って設計されたプリント基板の不要輻射対策を後手後手で行うという難題が1984年ごろのヒラサカの状況だったのでした.あらかじめ不要輻射にケアしておくならば、74Fシリーズなんか採用してはいけないっちゅうに.それで、Clockは言うに及ばず、バスにもこういう「三端子コンデンサ」を挿入して波形を鈍らせて不要輻射レベルを下げるという、74Fを採用したのにそうするのってどうなの的な対策をやったわけです.

ところがそれでも108MHzの5倍とか9倍の不要輻射が下がらない.その原因は何かというと74FXXの表面からギャーギャーと放射してたりする.そうなっちゃったらシールドケースに入れるしかないけどプリント基板の大変更になってしまうので、74FのICの表面にフェライト板を貼るとかして妥協する....すると0.5dBぐらい不要輻射が下がる.

いま、東洋ゴムの免震ゴム偽装事件が話題になっていますけれど、1980年代の不要輻射対策もヤバイ事をやっていたと思うんだ.製品の不要輻射マージンがギリギリだったうえ、全数検査するわけじゃないから、中には規格オーバーの固体があっても不思議じゃなかった.不要輻射対策は徹夜作業になるので、品証の人がOKと言うなら設計者としてはOKOKというスタンスのわたしでした.

この74Fシリーズがまだ「鈴商」で売られているんだからスゲー物持ちいいわ.

74ALSxx
ロジック回路がCMOSへと変わっていった端境期だったため、あまり使った経験が無いです.LSの低消費電力はそのままに高速化したんじゃないかな? ちなみに、LSはLow Power Shotkeyの略で、Shotkeyダイオードを使って、トランジスタが深く飽和しないように制限することで高速化したとかなんとか.
ここまでは、トランジスタで回路が出来ていました.電源電圧は5Vでしか使えないはずです.

以降はCMOSになります.低消費電力になり、電源電圧が3.3Vでも5Vでも使えるようになりました.

74HCxx
ロジックレベルがLSとは微妙に異なるので、単純にLSをHCに置き換えればよいわけでもないので抵抗もあっただろうし、そもそも74LSでいいじゃんと思いつつも、不要輻射が減るので皆がこぞって新規設計に使うようになった、という印象がヒラサカにはあります.当時は低消費電力さはあまりケアされず、スタミナとか待機電力とかは重視されていませんでした.

この記事を書くキッカケが、昨日「鈴商」で74HC163を買って、48MHzのclockを分周しようとして念のためにデータシートで最高周波数を確認したら25MHz@5Vと意外と低いのでした(同じ品番でもメーカーによる). HCってそんなに遅い回路だったっけ? 74ACを買えば良かった.回路を作って動かしてみたら48MHzだと誤動作してる.30MHzならなんとか動く.(泣)

入力にプルアップ抵抗を内蔵したHCTシリーズもありました.

ともあれ74HCには大変お世話になりました.今でもお世話になっております.

74ACxx
ロジックICをゴチャゴチャと並べる設計が下火になって、み~んなLSIやゲートアレイやFPGAに取り込まれてゆく時代になり、ACシリーズの使用経験はわたしは多くはありませんけど、会社の部品棚には常備されていたシリーズです.
HCよりも高速.たとえば74AC163は140MHztyp@5VですからHCよりも断然高速です.

74VHCxx、74LVxx、など
ここらへんのロジックICが登場する時代になると、LSIばっか設計していたので使用経験はありません.74VHC163は185MHztyp@5Vで速いですわ.ECLには負けるけど.

これらの他に、4000シリーズ、14500シリーズが古くからありまして、ちょくちょくお世話になりました.「鈴商」は今でもこれらを売ってます.PLLの4046は遊びでよく使いました.
#そして好きなのはECL、、、

かしこ


人気ブログランキングへ

2 件のコメント:

  1. その昔、私の伯母が鳩ヶ谷に住んでいた頃、近所にTIの工場があって、ロジックICをハトロン紙で繰るんで箱詰めする内職をやってました。

    何度か手伝ったことがあります。

    返信削除
    返信
    1. それは懐かしい昭和の風景ですw.
      静電気対策とかが厳しくなかった頃、そして74XXがそれなりの価格だった頃.
      今では日本国内で生産してもペイしないでしょうねぇ.

      削除