2014年6月3日火曜日

「キルラキル」製作会社による製作進行の仕事紹介本「アニメを仕事に!」

卜部美琴を立ち読みするために中目黒の本屋に”月刊comic afternoon”を立ち読み行ったけれど、全部がビニ本化されていて立ち読みできなかった残念な昨日、新書の表紙がいかにもアニメの原画だわってなイラストに目を奪われ手に取ったのは、「アニメを仕事に!」という本でした
アニメ「キルラキル」を製作したスタッフの一人で、現役の製作進行担当の人が、アニメの製作進行とはどんな仕事なのか?について書いた本です.これは読まねばいかんと思って買いました.

製作進行というと、スケジュール管理係のことだろって認識しか無かったのですが、ひとまずそれで当たりなんですが、原画や背景画をクルマで回収したりするのはもちろん、業界内のどの原画屋に発注するかも製作進行の職権なのだそうで、アニメ作品のクオリティに重大な責任を持つ担当者なのだと知りました.

プレイングマネージャーという言葉があります.わたしはプレイングマネージャーっぽかったので、自らは設計者でありながら、スケジュール管理っぽい仕事とか、社内外の交渉とかもやったりしていました.でも設計が一番面白くて大事な仕事で、管理とか交渉は必要だから引き受けているだけってな気分で働いていましたし、設計業務が枯渇して設計者でいられなくなってしまったから会社を辞めてしまいました.
この本で「製作進行」という職務を知って、わたしには勤まらない仕事だなと思いました.設計業務がほとんど無くて、スケジュール管理や交渉業務だけがある職務はつらくてダメだな.製作進行の3年後業界生存率は10~20%ぐらいだとこの本に書かれています.

新人教育について書かれた部分は、ちょっとやそっとのビジネス書ごときよりよほどタメになることが書かれているように思います.

わたしが最も印象的だったのは、「チームのベクトルを一致させ、チームが働きやすい環境を作れば、できあがるアニメの品質が向上する」という部分でした.たしかに、「ヤマト2199」なんかは膨大な設定やシナリオや演出や作画のベクトルを半年間超にわたって持続できたことを実感できますし、その結果のあのクオリティには敬服いたす次第です.
ただし、同時に違和感も覚えたのは、わたしのフィールドである電気製品の商品設計にはそういう「現場力による顕著な改善効果」って基本的に無かったんだよなぁ.電気製品は個人技で出来るものじゃないからかもしれませんが.

最後に、アニメの製作進行の仕事が膨大であるため、仕事の流れを記しただけで一冊の本になってしまうくらい多岐にわたるようなのですが、もっとくだらないエピソードを書いた方が面白い本になったと思いました.寝落ちしてて作画が全く進んでなかった件とか.納期が早い北海道の放送局には別バージョンを納品せざるを得なかった件とか.とある大作アニメが業界リソースを食い尽くした件とか.伝説の原画マンの件とか.やたら原作者が口出ししてくる件とか.声優の男女関係のもつれで共演するとToLoveる件とか....

そうか、それは続編 「アニメの仕事パート2(蛇の道は蛇)」で明かされるわけですね.続編を楽しみにしてますよ.   >   トリガー殿ぜひ

かしこ


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4 件のコメント:

  1. 制作進行って地獄ですね。
    http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/04/18/kiji/K20140418007998030.html

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    1. うわ~この人って製作進行スタッフだったんですね.344時間残業って意味が判らずでしたが、この本を読んだら納得できました.すなわち、クルマで原稿を受領に行くのが明け方4時だったりして、そのままアフレコが8:30~開始みたいなルーチン(と言い難い)だからなんです.
      パート2を期待しますw

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  2. アウン・サン・スー・チーの実像  知らなかった。
    https://www.youtube.com/watch?v=Q6-brDHx9e0
    米国の理不尽・トヨタリコール
    https://www.youtube.com/watch?v=Ey_YLLTM4LY

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    1. スーチーさん=福島瑞穂ってとこですか

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