2014年5月25日日曜日

有機ELの火が消える日

日本製の有機ELテレビの開発からソニーとパナが撤退し、日の丸有機ELの開発がこれでオシマイ、というニュース.記事を読むと「ジャパンディスプレイ」へ売却する方向とのことなので火が消えるわけではなさそうですが、ソニーとパナがやめちゃうのはホントの事のようで、だとすると日本メーカーで誰かがやる可能性は少ないように思います.
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140525-00000009-asahi-bus_all

ソニーが出した小型の有機ELテレビがこれで、たしか10インチぐらいだったかと思います.素直な画質でとても好きなので、いつの日か自宅で大画面有機ELテレビを使う日が来る事をマジメに夢見ていたわたしでしたからとても残念です.
有機ELテレビが高コストでやってらんねぇって話は昔から言われていて、有機EL材料をスパッタ成形するソニーに対して、パナは印刷だから安いとも言われてましたけど、コストが高くてやってらんねぇのは別のところに原因があるとわたしは理解してます.

↓これがEL素子の断面図で、EL素子が発光するだけの電流を透明電極にガンガン流さなくちゃイケナイので、透明電極の形成コストがすごく高いのがボトルネックだというのが昔わたしが聞きかじった話です.たぶん今でも事情は変わらないと思います.1画素当たり3μAを流すとして、4kテレビだと2kx4k=8e6個の画素があるから、全電流は3μAx8e6=24Aを透明電極に流す必要に迫られる.24Aは半端ないっす.
普及した液晶テレビの場合はバックライトの光量をシャッターするだけなので電流を流す必要はなく、電圧をかけるだけの役割でOKですから薄っぺらな透明電極で済むので値段が安い.
冒頭の記事によると韓国メーカーも有機ELのコスト高にはお悩み中だとか.
ちなみに透明電極にはインジウムという高価な金属を使うそうです.

どれだけ無理なのかは知らずに書きますけど、電流を垂直に流すのが無理ってことで技術開発の歴史にピリオドが打たれようとしているのだとしたら、電流を水平に流すEL素子を誰かが発明するまでは有機ELの再登板は無いってことになるかもしれません.

CRTの長い長い歴史にピリオドを打ったのは、プラズマでもなく、FEDでもなく、液晶でしたが、どうやら液晶が長い長い長~~い歴史を刻み続けるようです.

有機ELのコスト高で悩んでいる韓国メーカー(液晶でエンジョイ中)も、日本が有機ELから撤退したのなら、液晶による天下を長く続けられれば彼ら的にはうれしいわけですから、韓国メーカーから有機ELディスプレイが登場する可能性もほとんどゼロってことに自動的になるかと思います.とても残念です.

合掌


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2 件のコメント:

  1. 国共同体は両者から買い取り、アイパッド、アイポッド向けに限定する作戦のようです。

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    1. 買い叩かれるし定期的コストダウンも強いられるのでしんどいビジネスですが、がんばってほしいです.モバイル向けの小型サイズなら有機ELの実現性はあると思うので.でもLEDとガチで価格勝負は難しいでしょう.

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